暴言はなくならない?

生徒指導の相談を受けることがあります。
「教室で1時間の授業をおとなしく座っていることができない」
「友達と毎日のようにトラブルを起こす」
「衝動的に手が出てしまったり、悪口が出てしまったりする子がいる」

これらは、 どうやって指導したらよいのかという相談です。
『指導したらよいのか』という表現ですが、先生からすると『トラブルは無くなってほしい』というのが本音かと思います。

そうした時にお答えするのは、『そのような事象は完全にはなくならない』ということです。

逆に考えてみると、わかりやすいかもしれません。
クラスの全員が席に着いていて私語をしない。
全員が仲良く過ごしている。
ケンカが全くなく、誰もがニコニコしている。
それがいつも続くとしたら、どうでしょう?
これが児童生徒が集団で毎日過ごしている中で起きているのであれば、大きな違和感を覚えるはずです。

何もトラブルが起きない中で、それらで誰かが嫌な思いや悲しい思いをすることもなく、それらを乗り越える経験もなく成長していく。
その子達が大人になった時の方がよほど怖いのではないでしょうか。

「無くなってほしい」という考えで指導をしていくのをやめませんか。
このようにお話をさせてもらうことが多いです。
もしトラブルが多すぎる場合、まずは『これ以上増えない』ことを目指せばいいのです。
そこが「現状」ですから。
そして、少しずつでも減ればいい。

私が教室でよく話していたことは下記のような言葉がけです。
「教室の中で静かになりにくかったり、ケンカが起きてしまったりすることってありますよね。なくなればいいなぁと思う人は少なくありません。だって静かな方が勉強しやすいですし、友だちとケンカがなければ毎日を仲良く過ごすこともできます。だけどなくならないですよ。今まで小学校で何年間か過ごしてきて、1年間で1回もそんなことがなかったよという教室はなかったと思います。
大人になっても一緒です。お家の方が仕事のことでグチを言っていたり、悩んでいたりする様子をちらっとでも見たことがある人はいると思います。
でも、それを先生は諦めればよいと思っているわけではありません。大きく2つのことを思っています。1つは、そういったことが増えるんじゃなくて減ればいいと思ってます。0にはならなくても減らすことはできるからです。そしたら前よりもよくなったよねって言えます。もう一つは、そういったことがあったときに、嫌だ、ダメだ、なくなればいい、のように考えるのではなくて、その時はしんどくてもこうしたら解決する、のように前向きに捉える考え方を持って欲しいということです。
こうしたことは1日でできることではありません。毎日毎日の積み重ねです。じゃあ、スタートはどこにするのか。4月でもよいですが、 今日からだって大丈夫です。毎日毎日の積み重ねをするのであれば、いつがスタートだってよいからです。そんなクラスになっていったらいいなぁと思います。」

毎日のトラブルがなければ先生のお仕事は楽かもしれません。
それでもあるのが教室です。
先生ご自身がどのように考え、学級経営を進めるか。
色々な考えがあってよい部分ですので、ぜひ研修等をきっかけに整理していただけるとよいのかなと思います。

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