大人も子どもも、指導の細分化の大切さは同じ

障がいのある方が働くB型事業所で、製品組立のレクチャーを行いました。
製品を組み立てていくのですが、検品でなかなか合格が出ません。
「どのように組み立て、どのように検品すれば、合格できるのか」という指導のお手伝いをしました。

0.5ミリのズレが出ても不合格になります。
この数字だけを見ると非常に難しそうに思えます。
しかし、手で触れば違いがわかりますし、目で見ても判別できる程度のズレです。
これならば技術として習得できる範囲のものです。

このわずかなズレをなくすための指導。
皆さんなら、どのように伝えますか?

【指導方法を細分化する】
今回の指導前。
製品を作成する業者さんは「全体を触ればズレているところがわかるので、そこを直す」という指導をされていました。
間違ってはいませんが、受講者には伝わりにくく、実際にズレをなくすことができていませんでした。

そこで、指導を細分化しました。
1.製品の5箇所を確かめる。
2.手のひらと指先で確認する。
3.ズレているところがあれば、その都度修正する。
4.3で修正をした場合は1に戻る。合格であれば検品依頼を出す。

先ほどの指導と比較すると、以下のような違いがあります。
・「全体」→「5箇所」に限定することで、確認がしやすくなる。
・「触る」→「手のひらと指先で」と具体的にすることで、感覚的に理解しやすくなる。
・「直す」→「その都度直す」ことで、修正の精度が上がる。
・「修正後の流れがなかった」→「修正したら1に戻る」ことで、作業手順が明確になる。

わずかに細かくしただけですが、これが非常に重要です。
技術指導では、プロセスを細分化することで「できている部分」と「まだ難しい部分」が明確になります。
その上で、できるようになった部分は少しずつ手を離し、本人が自立して作業できるようにしていきます。

この考え方は、大人が相手でも、子どもが相手でも共通しています。「技術」だからです。

【「惜しい」という評価をなくす】
検品には「○(合格)」か「×(不合格)」しかありません。
製品として使用できるのか、できないのか。
これが唯一の判断基準になります。

しかし、実際の現場では「惜しい」という評価が生まれがちです。
「惜しくて○」「惜しくて×」という曖昧な評価では、作成した本人にはどちらの意味か伝わりません。
優しさから「△」という曖昧な評価した場合、改善につながらないこともあります。

厳しいようですが、「×ならば、はっきりと×」とはっきり伝えることが、次の成長につながります。
もちろん、その伝え方は大切です。

【検品担当者の「承認」が重要】
最後にお伝えしたのは検品担当者の「承認」です。
・できたら「合格!」「やった!」「完璧!」としっかり認める。
・できなかったら「残念」「不合格」「惜しかったね」「あと少し!」と笑顔で伝える。

これは多くの方が意識して実践できています。
しかし、できなかった場合の伝え方には難しさがあります。

「不合格」と伝えるときに、つい厳しい表情になってしまう。
でも、本当は「間違えたことも成長の過程」であり、決して責めるものではありません。
だからこそ、できなかったときも前向きな雰囲気で伝えることが大切です。

【2時間後の変化が生まれた】
休憩を挟みながら指導を行い、2時間後には皆さんが合格基準をクリアできるようになりました。
次回からは、検品の合格率がぐっと上がるはずです。

「学校と共通する部分が多いなぁ」と感じながら、お手伝いをさせていただきました。

子どもたちの指導も同じです。
技術を教えるときは細分化して、段階を踏んで、手を離していくことが大切です。
できたら「合格!」。
できなかったら「惜しい!次はここを気をつけよう!」と前向きに伝える。
これは、大人でも子どもでも同じなのかもしれません。

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