年度末が近づいてきたこの時期、職員室では「春休みの宿題はどうする?」という話題が出てきます。
これは学校や学年、先生ごとの考え方が大きく分かれる部分でもあります。
私は基本的に「出さない」方がよいと考えています。
学力が付かない、学習習慣が抜ける、といったマイナスの話がありますが、それ以上にメンタル的な部分が大きいからです。
【勉強が苦手な児童生徒】
子どもたちが気になる「学力」の部分。
年度の切り替わりはリセットの時期です。
苦手な子でも新年度になるタイミングでは「がんばろう」と考えやすい時期になります。
春休み。
家庭環境等でできない児童生徒の場合はどうなるでしょうか。
4月になって『できていない状態』からのスタートになってしまいます。
本人にとっても、次の担任の先生にとっても、この状態は望ましいものではありません。
できる子はやってきます。
しかし、そうではない子はリセットができない状態の中で新年度を迎えなくてはいけなくなります。
【新年度担任の業務負担】
新年度。
複数年、教員をしている先生でしたら、とんでもなく忙しい時期であることは言うまでもないと思います。
学校行事として入学式。
学校体制づくりという名目でわずか1週間ほどの間に何度も繰り返される会議。
それらの合間を縫った形でしか行えない教材選定や学級開きに向けた準備。
子どもたちが登校し始めてからの1週間ほどはクラス作りの中では重要だと言われる期間。
全力で臨まないと一年が大変になる時期。
上記に加えて、前年度末に出された宿題のチェックという仕事は本当に必要でしょうか。
そこにかける労力を、新しいクラスでの段取りにかけた方がうまくいくと考えた方が自然です。
【それでも出さないといけない学校もある】
学校は良くも悪くも「組織」です。
自分のクラスだけ出さないというのが通りません。
どうしても出さなくてはいけないケースも考えられます。
私は、もし宿題を出さなくてはいけないのであれば、できるだけ少なくというのが前提で考えていました。次のような形です。
・できればプリントではなく、冊子のような教材で購入する(答えがついているもの)
→この時期のものはとにかく薄いものを選択していました。
・もしプリントであれば主要教科数枚程度
→答え付きで配布し、家庭で丸付けまで済ませる。
・ちょっと裏技?
→学年末に時間を取り、先生や友達と一緒に丸付けを終えておく
【説明の仕方】
少ない量だったり、授業内で春休みの宿題をすることについて、他の先生や保護者、時には子どもたちからも「いいの?」のように聞かれることがあります。その時には次のように答えていました。
-児童向けの場合-
いいんです。
少なくても、授業内でやっても。
大切なのは、短い春休みを大切に過ごすこと。
○年生の勉強はこれで終わったんだから、宿題だって終わらせて、4月の新しい学年の1日目に全部終わった状態で気持ちよく学校に行けた方がいいじゃないですか。
こういうのを「リセット」と言います。
できなかったことも、できたことも、ちゃんと終わらせて、気分一新。
新しい学年をがんばるための準備時間としてください。
先生は、こういう宿題よりも、例えば、新しい文房具を用意したり、室内靴のサイズを合うものに変えたり、いつもはしないだろうけどランドセルを綺麗に磨くほうがよっぽど大切だと思いますよ。
実際に宿題を用意するのはもう少し先かもしれませんが、話題に上るだろうこの時期。
ぜひ子どもたちにとっても、先生方にとっても、負担のない流れになるといいなと感じています。