「GWどこ行くの?」がNGワードになる理由

新年度の慌ただしさが少し落ち着き、ゴールデンウィークが近づいてきました。
子どもたちとの会話にも「GW楽しみ!」という話題が増えてくる頃です。
そんな中、私が初任者の年に先輩から言われた言葉が今も忘れられません。
■「ゴールデンウィークはどこか行くの?」がなぜNG?
初任者の頃の私が、子どもたちにこう声をかけていた時のことです。
「GWはどこか出かけるの?」
「いいなあ、楽しんでね!」
そんなふうに話すことは、よいことだと思っていました。
ところが、それを聞いていた先輩が声をかけてくれました。
「ゴールデンウィークの声かけって、気をつけた方がいいよ」
と不意に言われた私は、戸惑いながらもその理由を尋ねました。
■先輩から教わったもう一つの視点
先輩はこんな話をしてくれました。
「病院で働いている家庭、配送の仕事をしている家庭、土日が稼ぎ時のサービス業…。そういう家庭では、GWが家族で出かけられるタイミングじゃないことも多い。中には、一度もGWに家族旅行をしたことがないという子もいるんだよ」
「そうかもしれません」と答えると、先輩は続けました。
「たぶん、その子たちは先生に怒ったりはしない。ただ、またかって思うだけ。そして、この先生も同じタイプかと思われる」
その時、私は言葉の重みを強く感じました。
■伝え方を変えるだけで、伝わる温度も変わる
じゃあ、どう言えばいいのか?
先輩が教えてくれた声かけの例は、今でも私の定番になっています。
「GW、どこか出かける人はいるかな?楽しみですね。
でも、クラスにはいろんな家があります。
GWも家族の仕事で出かけられない子もいるんです。
病院で働いているおうち、運送で荷物を届けるおうち、飲食店やお店で働くおうち。
人が休むときにこそ頑張ってくれている方々です。
だからね、GWに遊びに行く人は、その時間を大切に。
お休みがGWじゃないおうちは、他の日に楽しんでね。
先生は、学校のある日でも、家族で大切な時間を過ごせるなら、そっちを優先していいと思っています。
休んでもいいということ。
学校は6年間だけ。
でも家族と過ごす時間は一生だから。」
■「当たり前」にある価値観を、少し疑ってみる
気づかずに発してしまう当たり前の言葉。
でもその言葉が、誰かを置いてけぼりにしているかもしれない。
こうした視点を、改めて持たせてもらえた出来事でした。
子どもたちと接する日々の中で、私たちはつい無意識の基準で話してしまいがちです。
でも、その基準は、自分の育ちや経験に過ぎないかもしれません。
■ 先生はカレンダーどおり
先生の仕事は、基本的にカレンダーどおりです。
だからこそ、GWは心と体を休められる貴重なチャンス。
お出かけするもよし。
家でのんびりするもよし。
誰かと話して笑うのも、十分な充電です。
ご自身にも優しい時間を。