名作「ほたるのはか」を漢字で書けますか?

『ほたるのはか』、漢字でどう書くか、すぐに思い浮かびますか?
ほたるの墓?
蛍の墓?
火垂るの墓?
正しくは…『火垂るの墓』です。
この「火垂る(ほたる)」にまつわるお話が今日のメルマガです!
【蛍じゃないの?】
「蛍」は、中国由来の文字です。
古い漢詩の中で、光る虫を「火のような虫=蛍」と書いたのが始まりとされています。
でも、日本にはそれとは別に『やまと言葉』としての「火垂る」がありました。
この言葉には、もっと詩的で感覚的な意味がこめられています。
火が空から垂れてくるように、ぽとん…と落ちるように光る。
それが「火垂る」です。
「たれる」という言葉には、「静かに落ちる」「音もなくしずかに降る」という意味があります。
【漢字で印象が変わる名前】
「蛍の墓」だと、虫としての印象がどうしても強くなってしまいます。
でも、「火垂るの墓」と書くと、光そのものの跡のようなイメージが出てきます。
ホタルが光る時間は短く、命も短い。
一瞬のひかりに、祈りや願いを重ねるような、そんな表現です。
このタイトルをつけた作家・野坂昭如さんの「火垂る」という表記を選んだ意図。
もしかしたらそんなイメージにあるのかもしれません。
【ホタルの光、いろいろ】
ホタルといえば、黄緑の光を思い浮かべる人が多いかもしれません。
でも実は、種類によって光の色もテンポも違うんです。
ゲンジボタルは、やや明るい黄色い光。
ヘイケボタルは、暗めの黄緑。
ヒメボタルは、オレンジっぽい光。
テンポもさまざま。
関東のゲンジボタルは1秒ごとに光り、関西のゲンジボタルは2秒おき。
まるで方言のような光り方です。
実際、私は比較したことがないのですが、ちょっと見てみたい、なと。
【世界にはそろって光るホタルもいる?】
さらに世界を見てみると、ホタルの光の不思議が出てきました。
たとえば、マレーシアやタイ、アメリカには、数千匹のホタルが一斉に同じリズムで光る「シンクロ発光」をする種類がいます。
特に有名なのはPteroptyx malaccae(プテロプティクス・マラッカエ)。
マングローブの木にとまり、森全体が一拍ごとに「ピカッ、ピカッ」と呼吸するように光るとのこと。
これ、YouTubeで検索したら出てきました。
確かにみたことのある日本のホタルの光り方とは明らかに違います。
ちょうどこのくらいの季節から各地でホタルの話が聞こえてくる頃です。
もしそんな話題が教室で上がったら、ぜひ取り上げてみてください。