日焼けっていいこと?悪いこと?

京都ではここ数日、雨の日が多いですが、晴れの日はすでに夏のようです。
そんな中、この10年で一気に聞くようになってきたのが「学校で日焼け止めを塗ってきても良いですか」という話。
昔はそんなことなかったのになぁ、なんて職員室で話すこともありますが、最近の気候変化を考えると保護者の考えも理解ができます。

今日は、日焼けにまつわる様々な話や、最近の学校の日焼け止め事情などもご紹介できたらと思います。

▪️日焼けの原因「紫外線」のリスク
日焼けの正体、それは「紫外線(UV)」と呼ばれる太陽の光の一部です。
この紫外線、浴びた直後に肌が赤くヒリヒリするような「日焼け」を引き起こすだけでなく、長い目で見るといろいろなリスクがあることがわかってきています。
たとえば、
・肌の老化を早める(しわやたるみの原因になることも)
・将来的に皮膚がんのリスクを高める
・白内障など目への影響もある

特に注意が必要なのが、子どもたちの肌は大人よりも薄く、ダメージを受けやすいという点です。
小さなころからの紫外線の蓄積が、大人になってからの健康リスクにつながる可能性があります。

私が子どものころは「日焼けは健康の証拠」なんて言われることもありましたが、現在は「できるだけ避けるべきもの」としての認識が広がっています。

▶参考:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」

これ、結構わかりやすかったです!

▪️紫外線が強いのは何月?どの時間帯?
紫外線量が特に多いのは5月〜8月で、時間帯は午前10時〜午後2時がピークです。
春から注意が必要な理由は、この5月の時点で、すでに真夏と同じくらいの紫外線量になるためです。

▶参考:気象庁「紫外線に関するデータ」

5月から6月に運動会がある地域は、すでに日焼け止めへの対策が必要だということになります。

▪️紫外線を「完全に避ける」のは良くない?
一方で、紫外線をすべて避けることも一概に良いとは言えません。
紫外線を浴びることで体内ではビタミンDが生成されます。これは骨の形成や免疫機能に関係しており、不足するとくる病などのリスクもあります。

日本の環境では「顔や手に15〜30分程度の直射日光」でビタミンDは十分に生成されるとされています。短時間・適度な日光浴で十分で、無防備に長時間浴びる必要はないということになります。

▶参考:ファンケル「ビタミンDと日光浴の関係性とは? 日差しを浴びる時間や注意点を解説」

▪️子どもに日焼け止めって必要?小学校での対応は?
最近、多くの教育現場で日焼け止めの使用を推奨する流れが出ています。
特にプールや長時間の校外活動の前には、保護者からの要望を受けて「使用可」にする学校も増えています。

一方で、「肌に異常が出る子もいるのでは?」、「親の判断でやるべきでは?」という声もあり、学校内での一律の運用は難しい問題でもあります。

加えて、子どもが自分で適切に塗ることができるか、安全性が確保されるかなど、教員の指導や管理体制も課題となります。

▶参考:日本小児皮膚科学会「こどもの紫外線対策についてQ&A」

▪️日焼け=悪ではない
日焼けを完全に避けるのではなく、「適切な紫外線対策をしながら、必要な日光には触れる」というバランスが重要です。

学校現場としては、以下のような配慮が現実的です。

  • 5〜8月の午前10〜14時の活動は極力日陰での活動や帽子の着用を促す
  • 校外学習やプール指導の前に、希望児童には日焼け止めを使用できる環境を整える
  • 紫外線の基礎知識を保健指導等で伝える(ビタミンDとの関係など)

▪️黒くなるだけが日焼けじゃない
子どもたちにも、「日焼け=肌が黒くなるだけでなく、見えないダメージもある」ということを知らせることは、保健教育や理科との接続にもなります。

また、「日焼け止めを使っているから焼けない」という誤解や、「日焼け=健康の証」という古い価値観の見直しも、時代に即した教育の一部といえます。

紫外線は目に見えません。だからこそ、「知らないうちにダメージを受けている」ことがあります。
でも一方で、日差しの中で遊ぶ楽しさや、季節を感じる活動も子どもにとって大切な時間です。

大人が知識を持ち、「守りすぎない」「放置しすぎない」ちょうどよいバランスを取っていくことが、子どもの健やかな成長につながっていくのかもしれません。

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