調理プログラムが自立と就労につながる理由

エデュワークには調理プログラムがあります。
これは「料理ができるようになるため」というより、生活の中で必要になる力を、活動の中で積み上げるためです。

調理は、段取りの練習に向いています。
手を洗う。
道具を出す。
材料を確認する。
切る。
混ぜる。
盛りつける。
片づける。
順番があり、終わりも見える。
この「手順を通す経験」が、自立や就労につながる土台になります。

自立や就労で求められる力は、特別な才能ではなく、毎日の基本動作です。
決まった時間に動く。
指示を聞いて、次の作業に移る。
分からないときに止まらず、聞ける。
最後までやり切る。
片づけて終わる。

調理は、これらが一つの活動の中に全部入っています。

例えば、就労の現場では「次に何をするか」を自分で確認して動く場面が多いです。
調理では、手順を見える形にして、次の一手を確認しながら進めます。
これは、仕事でいう「手順書を見て動く」「段取りを崩さずに進める」練習に近いです。

また、役割を持つ経験も大きいです。
調理は工程が多いので、役割を分けやすい。
洗う係。
計量係。
盛りつけ係。
タイマー係。
片づけ係。
就労では、いきなり全部ではなく、一部の作業を安定して任されるところから始まることが多いです。
調理の役割分担は、その「部分作業を任される」体験になります。

さらに、調理では「できたかどうか」が行動で見えます。
切れた。
盛れた。
終われた。
片づけまでいけた。
これは本人の中に「自分は役に立てた」「最後まで通せた」という感覚を残しやすいのです。
自立や就労に必要なのは、能力そのものだけではなく、続けられる感覚です。
自信が持ちにくいと、挑戦の前に止まってしまうことがあります。

もう一つは、切り替えの練習になります。
調理は「次の工程」が次々に来ます。
そこで、私たちは次の一手だけ伝えたり、区切りを作ったりして、切り替えが通る形にします。
仕事でも、休憩後に戻る、別の作業に移る、予定変更が入る、という切り替えが頻繁にあります。
調理の場面で切り替えが通る経験を積むことは、就労の現場での安定につながりやすいと感じています。

保護者の方から見ると、調理というと「食べられるかどうか」が気になることも多いと思います。
もちろん食の経験が広がるのは大切です。
ただ私たちが大事にしているのは、食べる前の工程です。

今日はその場にいられた。
今日は洗うところまでできた。
今日は最後の片づけに参加できた。
この一つひとつが、生活の力として残っていきます。
そして、その積み重ねが、将来の「働く」を支える土台になります。

エデュワークの調理プログラムは、料理の上手さを競う時間ではありません。
段取りをつけて、役割を持って、最後までやり切る。
その経験を積むことが、自立や就労への遠回りに見えて、実は一番近い道だと考えています。

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