「確定申告」と聞くと、「会社員や公務員には関係ないのでは?」と思う方も多いかもしれません。
学校では年末調整が行われるため、ほとんどの先生が確定申告をすることなく、毎年の税金が処理されています。
しかし、実は本来受けられる控除があるのに、申告をしていないことで「払いすぎ」になっているケースもあります。確定申告を活用することで、税金が還付されたり、節税につながることも。
そしてもう一つ考えたいのは、先生自身が「納税」についてどれだけ学び、実践しているかということです。
子どもたちに社会科や公民で「納税の義務」を教える立場である先生方が、実は税について深く学ぶ機会がほとんどないというのは、教育現場の課題の一つかもしれません。
だからこそ、確定申告を自ら実践し、納税に関心を持つことで、その大切さを子どもたちにも考えさせるきっかけを作ることができるのではないでしょうか。
【確定申告をすべきケース】
先生方も、以下のような場合は確定申告をすることで、税金の還付を受けられる可能性があります。
1.医療費控除
年間の医療費が10万円(もしくは総所得の5%)を超えた場合、確定申告をすることで一部の税金が還付されます。
例えば、家族全員の医療費を合算して申請できるため、年間で高額な医療費がかかった家庭は申告を検討してみる価値があります。
2.ふるさと納税(ワンストップ特例を利用しない場合)
ワンストップ特例を利用せず、5自治体以上に寄付した場合は確定申告が必要です。
確定申告をしないと、控除が受けられず、本来戻ってくるはずの税金が戻らないことになります。
3.住宅ローン控除(初年度)
住宅ローン控除は、住宅を購入しローンを組んだ際に受けられる税控除です。
初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は勤務先の年末調整で控除を受けることができます。
初年度に申請を忘れると、その年の控除が受けられなくなるため注意が必要です。
4.副業収入・原稿料・講師料がある場合
先生方の中には、研修講師をしたり、原稿執筆をしたりする方もいらっしゃるかもしれません。
年間20万円を超える副収入がある場合は確定申告が必要です。
また、副業の経費を差し引いて申告することで、税負担を軽くできる場合もあります。
例えば、執筆のために購入した書籍や、研修講師のために使った交通費などは、経費として申請できる可能性があります。
【確定申告は面倒?実は簡単な方法も】
確定申告というと、「書類が多くて難しそう…」「やったことがないから面倒」と思う方も多いかもしれません。
しかし、最近はスマホやパソコンからオンラインで申告できる「e-Tax」もあり、手続きは以前よりも簡単になっています。マイナンバーカードを持っている方は、カードリーダーを使えば税務署に行かずに申告を完了することもできます。
また、確定申告の期間は3月15日までですが、還付申告(払いすぎた税金を戻す申告)は5年間遡って申請可能です。
例えば「去年、医療費が多かったけど申告しなかった」という場合でも、まだ間に合うかもしれません。
▼国税庁確定申告特集
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/index.htm
【先生が納税を学ぶことの意義】
学校では、「国民の三大義務」として「教育・勤労・納税」を教えます。
しかし、教育と勤労は先生自身が日々実践しているものの、「納税」については、どれほど意識できているでしょうか?
給与所得者である先生方は、税金が自動的に引かれるため、税の仕組みについて深く考える機会が少ないかもしれません。
しかし、税金は社会を支える大切なもの。先生自身が納税の仕組みを知り、適切な手続きを取ることで、子どもたちに「税とは何か?」をよりリアルに伝えることができるのではないでしょうか。
例えば、
・「税金を払いすぎているのに、申告しないと戻ってこない」という仕組み
・ふるさと納税を活用すると、実質負担2,000円で自治体を応援できる仕組み
・医療費控除を受けることで、家計の負担を減らす方法
こうしたことを、先生自身が知っておくことで、家庭科や公民の授業で伝える内容にも深みが出るかもしれません。
また、確定申告を実際にやってみることで、税金を納めることの意義、社会の仕組み、経済の流れについて、より実感を持って子どもたちに伝えられるかもしれません。