135年前の給食メニュー、知っていますか?

「今日の給食、カレーだって!」
こんな声があると、教室の空気がやわらかくなります。

毎日のようにある給食。
学校給食っていつ始まったんだろう?について紹介します。

▪️日本初の給食
最初の給食は、明治22年(今から135年前)。
山形県鶴岡市の私立忠愛小学校が、そのはじまりです。

おにぎり、焼き魚、漬物。
鶴岡では、年に一度は再現メニューが出されます。
私、鶴岡での勤務経験があるので、毎年の「その日」をよく覚えています。
なんというか、今の給食と比較すると正直おいしくないです…
でも意義は十二分にわかるので、ちゃんと残さず食べていました。

学校給食の変遷(農林水産省)

ところで、135年前ってどんな時代だったのでしょう。

この年、日本では「大日本帝国憲法」が発布されました。
国が整い始めた頃で、学校も「やっと制度が動き出したばかり」というタイミング。

家庭には冷蔵庫も炊飯器もありません。
白米はぜいたく品で、芋や麦、雑穀が主食。
子どもたちは草履をはき、ランプの明かりで生活していた時代です。

そんな時代に「学校に来る子どもたちのために、温かいごはんを出そう」と考えた人たちがいた。
これが、給食のはじまりです。

理由はシンプルでした。
「家庭で十分に食べられない子どもが多かったから」。

せめて学校では、同じものを安心して食べてほしい。
その想いが、地域の中で形になっていったのです。

今、給食も大きく変わりました。

昭和前半は、コッペパンと脱脂粉乳。後半になると味に注目され始めました。
平成になると米飯が定着し、郷土料理や行事食も登場。
令和では、アレルギー対応や地産地消…
「食べること」が学びのひとつになってきています。

▪️世界の給食
日本の学校給食は、世界的にもかなり特別です。
他の国と比較してみると、違いがよく分かります。

【日本】
・栄養士が献立を作成。「全員が同じものを食べる」スタイル。
・地産地消や食育が意識されていて、文化的・教育的な意味も大きい。
・基本的に保護者負担あり(自治体によって一部無償化)。

【アメリカ】
・選択制が中心。ピザやハンバーガー、ジュースなどが定番メニュー。
・栄養バランスの偏りや、家庭の経済格差による影響が問題に。
・有料だが、低所得層には補助や無料制度も。

【フランス】
・有料制。前菜・主菜・チーズ・デザートというコース形式。
・「美食教育」として、ゆっくり食事を楽しむ文化が重視される。
・一方で、地域や家庭の文化格差も現れやすい。

【フィンランド】
・公立学校では無料。食堂形式で、野菜中心のシンプルな食事が多い。
・子どもの自立や選択を尊重するスタイルで、個人のペースで食べる。
・学校や地域によって、提供内容に差が出ることも。

【韓国】
・栄養士によってメニュー管理。地元の食材を使い、バランスも良い。
・最近は完全無料化が進んでいる自治体もある。
・もともとは家庭から弁当を持参する文化だったが、給食化が進行中。

世界の学校生活を比べてみよう(株式会社明治)

しかも、「給食だより」まであるのは日本くらいです。
献立だけでなく、旬の野菜や行事の豆知識まで載っていて、子どもとの会話のきっかけにもなってくれます。

最近は、物価の高騰や家庭の経済的な不安が増えています。
だからこそ、「学校でしっかり食べられる」ことの価値は高まっているように思います。

給食が生まれたのは、「必要な子がいたから」。
その原点は、135年経った今も変わっていません。

目の前の一皿の向こうにある、
誰かの願いや、時代を超えた想い。

「いただきます」が、少しだけ特別に聞こえる日があってもいいなと思います。

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