よくも悪くも親なんだよなぁ…

今日は18歳になった子どもたちの進路の話です。彼らには様々な進路があります。大きくは2つ。進学と就労です。

発達障がいや障がいのある子どもたち。
可能なことが限定されていたり、突出していたり、不足していたりすることが多いです。
そこで進学が難しい子どもたちもいます。そのケースでは、「進学」という寄り道をするのではなく、最短距離で就労につなぎ、自立やそれに少しでも近い形進んでいけるようサポートをしていきます。

いろいろな関連機関と話をしていて、進学を勧めるケースはハッキリしています。
「その短大、専門、4大などへ進学をしたら、仕事がありそうだったり、収入がある程度取れそうな時」です。
高校卒業してから、就職をするまでの期間をモラトリアムと呼ぶことがあります。ある一定の自由を謳歌できる時間。私自身もそうだったのですが、とても充実した時間でした。
しかし、それが彼らにとって必ずしも良い時間になるとは限りません。そこで不規則な生活が定着してしまい、就職というセレクトを取れなくなってしまうケースがかなりあります。
そこで、手に職をつけたり、職業選択まで直結しているような学校であれば勧めますが、そうではない場合は積極的に勧めません。

では、18歳で卒業して就労。
どこにどのような形で就労するのか?
福祉事業所で働くケースもありますし、一般の有期限、もしくは無期限で働くケースもあります。

障がい者就労ですと、他のブログ記事でも紹介していますが、下記のような数値になります。
B型就労 約23,053円(令和5年度)
A型就労 約83,551円(令和4年度)
特例子会社 平均年収:150万~300万円未満が多数

自立。
これには収入が密接に関わってきます。
収入を得るのが仕事です。
保護者の立場からすると、様々に考えなければいけないことがあります。
・進学にするのか就労にするのか
・進学後に就労する場所はあるのか
・学校等から提案された就労先は自分の子にとって適正なのか
目先数年でも、上記のものがありますし、先々まで考えていくと、
・親亡き後をどうするのか
は、必ず考えなければいけないことです。

ここ最近、特別支援学校や私たちのような就労を支援する企業で、よく話題になるのは「親次第」という言葉です。

先日、特別支援学校から伺った話です。
「驚くほど良い条件の就労先にが開拓できた。その子であれば職能的にも対応可能。給料は同一条件が障がいのある子と比較したら約5倍。しかも無期限。本人も乗り気。インターンへつなぐ手続きをしていたところ、保護者から断りの連絡があり、うちはB型か生活介護に行かせます、とのこと。可能な限り、私たち両親で面倒を見ていきます」と答えられた、と。
その特別支援学校の進路担当の先生は、本当にがっかりしておられました。

この手の話、珍しくありません。

障がい者就労。
厚生労働省の様々な施策や学校・地域・企業等の努力により以前よりもかなり好条件の就労先が出てきています。
そこから、保護者がほんのわずかな気にかかった点を出してきて断るというケースが後を立ちません。

もちろん逆のケースもあります。
「どんなところでも、働くことになれば、良いことも悪いこともあるから」
このように送り出していただき、初任給で親御さんにプレゼントとしてハンカチを買ってあげ、ずっと飾っていて一度も使えない、といった話。

どちらを掴むか。
ホント、親次第です。

となると、良い条件に就労させない親は悪い親なのか、という話が出てきます。
私は、当事者である子どもたちが充実した人生を送れれば、それでよいと思っています。それが、進学なのか、就労なのか、それ以外なのか。これはその家庭にしかわかりません。
だから良いも悪いもないと。
ただし、です。
正確な知識は必要です。
手に職をつけて就職率ほぼ100%の学校、という触れ込みのあの学校の広報は本当なのか。
B型やA型の仕事や雇用条件、工賃、定着率は知っているのか。
そこで、特別支援学校や放課後等デイサービス、訪問看護、企業とコラボして様々な取り組みをしています。

正しい知識を必要な量だけ得ていただいた上で、大切な子どもの将来を考えていく。
もちろん、ご家庭自身の努力も必要ですが、こちらでもできることをしていきたいなと思っています。

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