小正月という、静かな区切りの日

1月15日は「小正月(こしょうがつ)」と呼ばれる日です。
元日や三が日のような華やかさはありませんが、昔の人たちの暮らしの中では、大切な区切りの日でした。

ここでいう「昔」とは、主に江戸時代ごろまでの日本です。
今のように学校や会社の予定で一年が区切られていたわけではなく、多くの人が農村で暮らし、季節や農作業の流れに合わせて生活していた時代です。

今の感覚では、正月は三が日で終わるもの、と思われがちですが、当時は1月15日ごろまでを正月と考える地域も少なくありませんでした。
だから小正月は「正月の終わり」であり、同時に「日常に戻るための準備の日」でもあったようです。

小正月にその年の作物の出来を占う「粥占い」をしたり、餅花を飾って豊作や無病息災を願ったりする風習が各地に見られました。
今でも祭事が残っている地域もあります。
一年をどう生きていくかを考える、生活に直結した行事だったことが分かります。

また、小正月は「女正月(おんなしょうがつ)」と呼ばれることもありました。
この言葉が使われるようになったのも、江戸時代以降だと考えられています。
年末から正月にかけての支度や来客対応は、当時は主に女性たちの仕事でした。
小正月は、そうした忙しさが一段落し、ようやく一息つける日として受け止められていたようです。

女正月という言葉や考え方は、明治から昭和のはじめ頃までは比較的よく使われていましたが、生活の形が変わるにつれて、次第に聞かれなくなっていきました。

もし、今でも1月15日までが正月だったら、学校や仕事はどうなっていたでしょうか。
一気に通常運転に戻るのではなく、少しずつ生活を整える時間が、もっとあったのかもしれません。

大正月が「祝う日」だとすれば、小正月は「整える日」。
派手ではありませんが、無理をせずに日常へ戻るための知恵が、暦の中に残されていました。
暮らしを続けていくために必要だった、静かな節目だったのだと思います。

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