子どもの学習支援をしていると、「○年生だからこのくらいはできてほしい」「同級生はみんなできているんです」といった言葉を耳にすることがあります。もちろん、学年相応の力を身につけてほしいという保護者の願いは自然なものです。しかし、本当に大切なのは「何年生だから」という基準ではなく、「その子が今どこにいて、何ができるのか」を見極めることです。
子どもは一人一人、得意なことも苦手なことも違います。同じ学年であっても、理解するスピードやつまずくポイントはさまざまです。そのため、学年だけを基準に課題を設定してしまうと、「難しすぎてやる気をなくす」「簡単すぎて成長につながらない」といったことが起こります。
実際に、小学1年生の女の子で、足し算や引き算のプリントになかなか集中して取り組むことができない子がいました。その子には計算問題ではなく、1から順番に数字を数えながら線でつないでいく「点つなぎ」の課題を用意してみました。すると、数字を声に出して数えながら最後まで集中して取り組むことができました。この経験から、その子にはまず「数字に親しみ、集中して取り組める活動」が必要だったことが分かりました。その子に合った課題を選ぶことで、学ぶことへの前向きな姿勢を引き出すことができた事例です。
学習支援では、その子に合った適切な難易度の課題を設定することが重要です。少し頑張ればできる課題を積み重ねることで、「できた」という成功体験が増え、自信につながります。その自信が「もっとやってみよう」という意欲を育て、結果として学力の向上にも結びついていきます。
逆に、「学年だからできて当たり前」という考えだけで無理に進めてしまうと、失敗体験ばかりが積み重なり、勉強そのものが嫌いになってしまうこともあります。一度失った自信を取り戻すには、多くの時間とエネルギーが必要です。
支援の目的は、周りの子どもと比べることではありません。その子自身が昨日より少しでも成長できるようにサポートすることです。小さな一歩を認め、その積み重ねを大切にすることが、子どもの未来につながります。
「この子には今、何が必要なのか」。その視点を持つことこそが、本当にその子に寄り添った学習支援なのだと思います。
文章:宇治指導員Y

