小学校の先生向け:所見の書き方入門

小学校で研究主任をしていた時に、校内向けに「研究通信」を書いていました。
先日、初めて所見を書くという先生に「書き方を教えて欲しい」というご要望をいただきレクチャーしていたのですが、その時にお出しした資料です。
こうした基礎的なことを知った上で「先生GPT」のようなアプリを使うと、さらに仕事がスムーズになるのかなと思い、紹介します。
もしよろしければ、次の所見から参考にしてみてください。

1.他の先生が書いた所見
私の講師時代。
「子どもを見て書けばよい」
そう言われて、見せるのをしぶられた覚えがあります。
でも、どう書いたらよいか分からない。
結局、本屋で「所見の書き方」なる本を購入して読みました。
教師になって教師関連の本を買ったのは、それが初めてだったので、とても印象に残っています。
〇〇小では、今回『初所見』を書く先生がいらっしゃいますので、今回は所見の書き方入門として書いていきます。

2.計画的に書く
一番良いのは、適宜書くことです。
「今日、○○君は□□というすばらしい発表をした」
というのを書いていく。
その時に書くのが、最も時間が掛からず、しかも具体的。
効率的です。
それが無理なら、所見スタート日を決めます。
私の場合は、
2ヶ月前から1日5分
です。3学期だったら、始業式の日がスタート日です。

3.スタート日の設定の仕方
0(ゼロ)と1(イチ)は違います。
スタート日に次の事をします。
①その学期の枠を作る(生活所見、総合所見、英語所見)。
②一人分書く。

これが1です。
いつも大量の原稿に追われている先生から教えてもらった方法です。
このスタートが切れているだけで、出だしが楽になります。

4.所見のフォーマットを決める
ここからは、あくまで越智の話です。
絶対にこうしなさいというのではなく、一例としてお読みください。
まずは、「所見全体のフォーマット(定型)」を決めます。
A.2つのことを書く。
B.2つのことは、下の1~4の中から選択する。
また、この数字は優先順序があるものとする。
1国語か算数
2社会か理科
3技能教科
4生活全般や当番活動、委員会
C.特記したいことはB.の優先順序よりも先に書く。
例えば、次のようなものである。
体育大会で応援団をした。
低学年担当で働いていて、低学年担任の先生からほめられた。
将棋や駒、折り紙などでクラストップを取った。
D.文字数は1つの内容で100~150文字。

フォーマットが決まっていると、一人につき2つを書く。
30人学級であれば、60ネタがあればよいということが分かります。

次に、「所見内容のフォーマット」を決めます。
A.短い文章でリードを書く。
(国語科「大造じいさんとがん」では、たくさんの文章を書きました。)
B.A.の詳細を書く。
(大造じいさんの作戦とその時の残雪の対応を比較しながら書いたので、分かりやすい
文章でした。)
C.B.に対しての評価を書く。
(2つのことを比べる対比は、文章を比較検討するときの基本となります。この基本が正確にできていたので、発表の時にもよく分かる内容で話ができました。)

このように定型を決めておくと多人数の所見を書く時でも容易になります。

5.エクセルで知っておくと早い2つの技
A.LEN関数
文字数を数えてくれる関数です。
=LEN(A1)

とセルに書き込むと、A1の文字
数を数えてくれます。
大体の文字数を揃えるときに楽
です。

右図のように、
文字を書いた右のセルに関数を打
つと便利です。

B.ウィンドウ枠の固定
一番上の段には「何所見」が書いてあります。
一番左の段には「児童名」が書いてあります。
ですから、この2つは固定しておきたいのです。
その時に使えるのが
ウィンドウ枠の固定

です。
「表示」→「ウィンドウ枠の固定」で設定できます。

そうすると、右図でいう、
「氏名」「1学期の総合」という列。
「氏名」「アントニオ猪木」という行。
この縦と横が固定され、作業効率がアップします。

6.所見で使える語尾表現
許可される語尾表現は、ころころ変わります。
この前の管理職はよかったが、今度の管理職はダメだ。
または、その反対。
当然のように起こります。
なぜなのか、気になって調べてみました。
その管理職が師と仰いで来た教師や読んできた本によるようです。
総合教育センターに勤務している時に、この話題になり、
「京都府の文例のようなものはないのか」という話になりました。
「ない」のだそうです。
原則として、学校における教育活動は、学習指導要領の記載例内であれば各担任にゆだねられます。これは学校教育法の規定によります。
その延長線上に、評価があるため、評価文言などは任せられているという見解でした。(あくまで雑談の中の話ですが)
京都府教育委員会で指導するのは、句読点や括弧の使い方、漢字や平仮名表記が好ましいもの(例、~なことの「こと」は平仮名等)など文言表記なのだそうです。

次に、本に記載されている文例を調べてみました。
・子どもの進歩がわかる絶対評価の通知表所見文例集(明治図書)
・通知表所見の書き方&文例集(日本標準)
・目標に準拠した通知表所見文例集(東洋館出版)
・通信簿の文例&言葉かけ集(図書文化)

様々です。
~を助言していきます。
~だとより伸びると思われます。
~指導していきます。
~やっていきましょう。

対象が「保護者」のもの「児童」のもの、両方あります。

結局は、管理職のご指導を頂きながらも、
通知表をもらった子どもの成長の手助けになるように書くことが一番大切だと言うことでしょうか。

7.ちょっと実例を挙げてみます
文章だけで、その子どもが特定できるように書くことが、私にとってのあこがれです。
まだまだ、遠いのですが、少しでも近づけているだろう文章を載せてみます。

・体育大会の応援団で、いつも積極的に動けました。旗が置いてある場所まで取りに行き準備をする、6年生にも負けない動きと声で練習をするといった行動が4年生だけではなく6年生にもよい影響を与えていました。
・社会科「水産業」の学習では、魚の名前やその種類、獲れる量などを知っていたり、資料集の中から探したりして、多くの発表をしました。社会科ではいくつもの資料があるのですが、それらの中から必要な内容を探し出す力に優れていました。探すこと、整理すること、まとめることが、これからより大切になっていきます。これからも意欲的に進めてもらいたいです。
・体育科の「バスケットボール」では、ディフェンスをがんばりました。相手チームの得点源になっている人に点を取らせないほど密着した守備は、友だちの大歓声を浴びるほどのものでした。自分でできることを最大限出し切り、ゲームに参加することができていました。
・国語科の学習中に行った「暗唱」では、毎日のように新しい古典や間分を覚えて発表をし続けました。課題として与えられたものをクリアすると、自主的に「もっとやりたい」と新たな暗唱に取り組んでいました。積極的に進めて行こうという姿が周囲の友だちにもよい影響を与えました。
・家庭科「ナップサックづくり」では、ヒモ通しを行った後の処理がとても美しくできました。お手本のようなきれいな処理で、何人もの友だちが見に行くほどでした。説明書きをしっかりと読み、それを丁寧に実践するというのは、大人になってからも使う技能です。これからの作品づくりにも役立つ力だと感じました。
・学力がぐんと伸びた2学期でした。一つ一つのことに丁寧に取り組んだ成果です。今まで難しかったところもあるようですので、ここでの油断は禁物です。さらに伸びていくことができるよう、継続した学習をしていきましょう。

う~ん。まだまだですね。精進します…。

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